里親制度の紹介
里親制度とは、「さまざまな事情で家庭から離れて暮らさなければならない子どもたちを、家庭的環境の中で養育する」という目的により、児童福祉法に基づいて定められた「子どもの福祉のための制度」です。
子どもを育てたい「大人」のための制度ではなく、温かな愛情と安心・安全な養育環境を必要とする「子ども」のためにある制度です。
家庭での養育に欠ける子どもたちの養育を社会的に任された、養育責任の遂行者が「里親」です。
家庭での生活を通じて、子どもが成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子どもの健全な育成を図る制度です。
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特定の大人との愛着関係の下で養育されることにより、自己の存在を受け入れられているという安心感の中で、自己肯定感を育むとともに、人との関係において不可欠な基本的信頼感を獲得することができる。
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里親家庭において、適切な家庭生活を体験する中で、家族それぞれのライフサイクルにおけるありようを学び、将来、家庭生活を築く上でのモデルとすることが期待できる。
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家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学んだり、身近な地域社会の中で、必要な社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術を獲得することができる。
というような効果が期待できることから、社会的養護においては里親委託を優先して検討することとしています。
里親制度としては、養育里親、専門里親、養子縁組希望里親、親族里親の4つの類型があります。
里親の種類
養育里親
保護者がいない子どもやさまざまな事情で保護者が育てることが難しい子ども(要保護児童)を養子縁組によらずに自らの家庭へ迎え入れて養育します。
なお、この養育里親には、いくつかの受入れ形態があります。
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長期養育
保護者の家庭環境が改善したり、子どもと保護者の関係が修復して、保護者の家庭へ復帰できるまで、あるいは子ども自身が自立するまで、里親の家庭で養育します。
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ホームステイ
県内の児童養護施設等に入所している子どもを、自立支援および健全育成のために、週末や学校の休業期間等に里親の家庭へ迎え入れて生活体験をさせるとともに、自立後の子どもの心の拠り所となります。
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一時保護
育児疲れや保護者の入院といった理由で、保護者が一時的に子どもを家庭で養育できない状況となったときに、比較的短い期間、里親の家庭で子どもを養育します。
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専門里親
要保護児童のうち、児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた子ども、非行等の問題行動を有する子ども、身体障害や知的障害または精神障害のある子どもなどであって、特に専門的な支援を必要とする子どもを豊かな経験に基づいてケアを行いながら、2年以内の期限付で養育します。
3年以上子どもの養育経験がある里親、または3年以上児童福祉事業に専門職として従事した経験があり、養育里親としての要件を満たす方が、専門里親養成研修を修了することで、専門里親として認定されます。
養子縁組里親
養子縁組は、保護者のない子ども又は家庭での養育が望めない子どもに温かい家庭を与え、かつその子どもの養育に法的安定性を与えることにより、子どもの健全な育成を図るものであり、子どものための制度です。
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保護者が養育できない子どもであって、養子縁組を必要とする子どもを、養子縁組することを前提として養育するものです。
親族里親
保護者の死亡、行方不明、拘禁などの理由により保護が必要となった子どもの扶養義務者およびその配偶者が養育する場合、里親としての要件を満たしていれば(経済的要件は含まれない)、親族里親として認定し、子どもの養育を委託する制度です。
里親制度を利用しなければ、子どもを養育する親族が経済的に困窮し、結果的に子どもが施設入所になってしまうと考えられる場合に適用されます。
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